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Paragliding Tour in Austria
ヨコハマスカイスポーツクラブ 永田雅美ジオスポーツ(株)の中台章氏が主催する2001年6月23日(土)から7月2日(月)までのヨーロッパ(オーストリア)ツアーに参加した.参加者は中台リーダー(英語超ペラ,独語少々)のほかジオスポーツ関係の長野(ベテランフライヤー)さん,桐木(ビール,ワイン何でもOK)さん,清野(オカマにもてそうな太目のヤサ男)さん,吉岡(坊主頭の元ボクサー)さん,山田(紅一点)さん,そしてPW記事を見て飛び込みで参加した私(永田)の7名であった.
以下は永田のフライトを中心としたツアー日記であるが,まず今回フライトしたエリアを簡単に紹介する.
1 フライトエリア
(1) ノイシュティフト フライトエリア
今回のツアーのメインエリアである.2人乗りリフトの終点,またはそこから徒歩で50m上ったところにあるテイクオフ,リフト乗り場近くのランディングともに十分な広さがあり,初心者にもあまりプレッシャーを感じさせないマル優エリアの印象を受けた.
テイクオフの海抜高度は1600m,ランディングまでの高度差は800mである.
上の写真はリフト終点横のテイクオフから見た前方の風景である.谷の中央の先の集落がフルプムス村であり,我々が宿泊したホテルドナホフもここにある.
下の写真は色っぽいオネーサンがフライヤー向けに営業している簡易食堂(屋台に近い)から見た広大なランディングである.ちなみにこのオネーサン愛想がよく,テイクオフに向かう途中に顔を合わせるといつも英語で Hello! と声をかけてくれた.
(2) スチューバイ フライトエリア
ここは毎年シーズンの幕開けとして開催されるスチューバイカップで有名なエリアである.ノイシュティフトエリアとは谷を挟んで反対側に位置し,ブッ飛んでもお互いのランディングに届くほど近い(約7km).
海抜高度1950mのテイクオフまでは4人のりのゴンドラリフトで上がる.ランディングの海抜高度が800mなので,高度差は1150mということになる.テイクオフから先の斜面がかなり急なので少々プレッシャーを感じる.
上の写真はテイクオフを真横から撮影したものである.反対側の山の中腹にノイシュティフトのテイクオフが見える.この写真の左端が私で,その右肩あたりがテイクオフになる.
(3) アッヘン湖 フライトエリア
我々が宿泊したスチューバイ谷とはインスブルックを挟んだ反対側に位置し,ホテルから車で約1時間の距離である.このエリアは湖があるので,DHVやメーカーが機体のテストを行う場所としても有名である.
写真の山高帽子のように見える岩山の真下に海抜高度1800mのテイクオフがあり,ケーブルカーで一気に上る.テイクオフ後は写真の左下あたりを経由して山を離れると,アッヘン湖やランディングが見える.ランディングの海抜高度が900mなので高低差は900mとなる.
(4) マークバッハヨッホ フライトエリア
アッヘン湖からスチューバイとは反対方向に1時間弱走ると,マークバッハヨッホがある.
ゴンドラリフトで上がる写真のテイクオフは海抜高度が1350mあり,ランディングまでの高度性550mとオーストリアとしては規模の小さいエリアである.しかし,強烈なフェーン風でどこのエリアも飛べない場合でもここだけは飛べるという不思議な場所である.
2 ツアー日記
6月23日(土)
LH711便は定刻より30分ほど遅れて成田を出発し,到着したフランクフルトではパスポートのチェックだけの入国となった.しかし,その後ハプニング発生.長野さんがタバコ5カートンを免税店のビニール袋で持っていたため,税関につかまりスッタモンダになった.4カートンオーバーのため罰金を含め88マルクの2倍(その意味が理解できなかった)を支払う羽目になる.
インスブルックではパスポートのチェックもなく入国したが,またまたハプニング.予約したレンタカー会社にはスタッフがいないのだ.9人乗りの1ボックスカーはあるのだがキーを受け取れない.中台リーダーがあちこちに電話をかけまくるがどうにもならない.結局タクシーでホテルへ向かう.明日再手配をするとのことであった.
4つ星のホテルドナホフはシングルベッドが2個密着した部屋とこのベッドのほかに2個のシングルベッドのある大きな部屋の2種類がある.ベッドが4個の部屋には2人,2個の部屋には1人と分散して宿泊する.
上の写真は私が宿泊したベッドが2個の部屋であり,普通のパラツアーでは考えられないような広さと贅沢を味わうことになる.さらに,我々が宿泊したすべての部屋からはスチューバイとノイシュティフトのテイクオフを眺めることができるのだ.
6月24日(日)
11時近くになってやっとVWのレンタカーが到着する.プロデザインの社長がインスブルックから届けてくれたのだ.さっそく足慣らしエリアのノイシュティフトへ向かう.日曜日とあって多くのフライヤーが飛び交い,メーカーのテストパイロットもループなどの派手なマヌーバーを披露していた.1本目は弱いリフトで,2本目は最大上昇率が5m近い荒れ気味のサーマルの中でトータル1時間以上のフライトとなった.
ホテルの朝食はバイキングスタイルで食べきれないほどの品数があるがツアー代金に含まれているだろうと考えた.しかし,夕食はフルコースということで費用が心配になり中台リーダーに訊ねたところ,な・なんと!このツアーは2食付であった.リピーターが多いという長野さん(本人は今回が3度目)の話に納得する.
以上の4枚の写真がフルコースの内容であり,この他にパンと野菜サラダが食べ放題である.
6月25日(月)
4時起床,時差の関係で早く目がさめてしまう.ここ1週間は晴天が続くのでほぼ毎日飛べそうとのこと.昨日と同じノイシュティフトエリアへ向かう.
午前中はサーマルが弱くブッ飛びに近い状態,午後はサーマルが活発になる.本流が西風,エリアは東向きのため,上空へ出ると冬の朝霧ほどでないにしてもかなり荒れている.前へ出してアウト&リターンを試みるも前方の山は北向きのためサーマルがなく早々に断念.中台リーダーによると,アーベント状態の夕方はかなり前方までの移動が可能とのこと.
6月26日(火)快晴の中,スチューバイでフライとするためゴンドラ乗り場へ向かう.しかし,ひっそりとして人の気配はなく,もちろんゴンドラは動いていない.あとできいた話ではゴンドラが故障してしばらくは運休とのこと.とりあえずノイシュティフトでフライトすることになった.
この日は試乗をお願いしたプロデザイン社のEFFECTだったので1本目はサーマルの弱い早い時間にテイクオフした.EFFECTはDHV1(アクセル使用時1−2)のグライダーであるが,驚いたことにDHV2の愛機X-RAYよりもトリムスピードとフルアクセル時の速度が速いのである.ブレークコードは重いが旋回性能もX-RAYと大差がない.
サーマルコンディションでの安定性を確かめるため2本目をテイクオフする.このときハプニングが発生.パーフェクトに立ち上げたはずなのに,キャノピーが頭上にきたときは右に大きく傾いているのだ.しかし,DHV1なので何とかなるだろうと右に移動しながら左ブレークを当てると難なく離陸した.ところが,グライダーは横風を受けたときのように右へ右へと飛行する.このとき右ブレークコードが固着しているのに気がついた.な・なんと!ブレークラインがC,Dライザーとしっかり絡んでいたのだ.腕が短いため,回復させることは無理と判断し,絡んだ上のブレークラインやDライザーで旋回することにした.また,体重移動だけでも旋回が可能なので不便は感じない.Dライザーでのランディングにもなんら問題がなかったが,早めに降りたのでフライトタイムは短かった.ボコボコサーマルでの挙動が気に入ればEFFECTを購入したいと思った.
6月27日(水)
アッヘン湖エリアへ向かう.メインではなくマヌーバーで使用している湖畔のランディングで中台リーダーが着陸方法を説明する.日本のエリアのように少々狭いのが難点か.
長野さんは後から(おいしいサーマルのとき)上がるということでリーダー以下6名でテイクオフへ.着陸誘導のため中台リーダーが最初に飛び出し,しんがりが私となった.強いサーマルブローでテイクオフに失敗し,キャノピーを横に飛ばされた後ヘトヘトでテイクオフする.や・や!!無線が通じない.スタ沈の時イヤホン・マイクのコードを引っ張ったので断線したようだ.最高のサーマルコンディションだったのにソアリングはあきらめ,ランディングへ向かう.慣れない中台方式の長い長い直線アプローチのランディングを試みるが,10mほどショートしてしまった.この日長野さんはアッヘン湖1周という超ビッグフライトを行う.
ドイツ語のみのメニューで内容がさっぱりわからないレストランで昼食をとった後,マークバッハヨッホエリアに向かう.夕方テイクオフするが,前線の影響で雲行きが怪しくなってきたので翼端を折ってのランディング.結局2本の短いフライトのため,欲求不満の残る1日となった.なお,今回のメンバーではボコボコサーマルのアッヘン湖での誘導は手におえないと中台リーダーが帰りの車中で話していた.
6月28日(木)
前線の通過による雨のためフライトは無理なので観光とショッピングとなる.
午前中は上の写真「黄金の子屋根」集合で旧市街の見学とショッピング,午後は郊外のアンブラス城(写真下)を見学して1日が終了.
6月29日(金)
予報では晴れる予定が,空全体に雲が広がりフライトは無理.インスブルック郊外の巨大なショッピングセンターで時間をつぶし,旧市街の中華レストランで昼食を取る.
3時ころノイシュティフトエリアに着くが,雲が多く良い条件とはいえない.1本目はソアリングが可能であったが,2本目はブッ飛びの状態でランディングの風はフォローとなる.中台リーダーが最後に飛び出したときテイクオフは無風になってしまったとのこと.
6月30日(土)
スチューバイのテイクオフに四輪駆動車をチャーターして向かう予定であったが,ゴンドラが運転を開始したとのことで,車で山ろく駅に行く.テイクオフは東斜面なのだが,午前の1本目(10時過ぎ)はおいしいサーマルは乏しかった.
2本目は全員がミニクロカンで隣のノイシュティフトエリアへ行く.高低差がかなりあり,ランディングへはブッ飛んでも何とか届く距離である.スチューバイで少し遊び,ノイシュティフトに移動して低い高度から弱いサーマルで上げる.最終日なのでクタクタになるまでのフライトであった.
写真はスチューバイエリアからノイシュティフトエリアに向かっているところ.中央の山の禿げたように見える部分がノイシュティフトのテイクオフで,靴のかかとあたりがランディングである.
下の写真はノイシュティフトランディング上空からスチューバイエリア方向を撮影,左先端にある雲の手前の山頂付近がスチューバイのテイクオフである.
3 あとがき
今回のツアーは天候に恵まれ,1日1時間も飛べば十分に満足するのに,6日で9時間近く飛んでしまった.スケジュールが許せばぜひ来年も参加して3000m以上のサーマルトップを目指したいと考えている.
最後に有益なアドバイスやご指導をいただいた中台リーダー,そして有形無形のサポートをしていただいたツアー参加の皆さんにお礼申し上げます.